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『羅小黒戦記』(ロシャオヘイセンキ)がとてもよかった。

中国の長編アニメ映画。
字幕版が去年公開されており、ロングランで今年の春頃まで上映していたが行ける範囲の劇場は川崎。春にチネチッタでやっていたが、コロナで在宅勤務をしている中、隣市へ行くのは気が引けて……まあ何かチャンスがあれば見るか〜考えていたら、日本語版が11/7から公開だという。

で、11月になったが某ジャンプ系映画がメガどころか連日一般ニュースにもなるほどの超ヒット中で、他の作品の宣伝が全然流れてこない有り様。当然これも埋もれている。このままだと2週目以降の上映は怪しいのでは?……と思い(回数減る・超深夜帯か早朝のみの上映になる)、初日のレイトショーへ行ってきた。して、レイトショーの割にはわりと早めでいい時間にも関わらず、客は10名に満たず。「あまり埋まっていないだろう」と想定してはいたものの、さすがに寂しい。

物語は主人公の黒猫型の妖精・シャオヘイが住処である自然豊かな大きな森を追われるところからはじまる。
こう書くと、なんかどっかで聞いたような見たような〜という感じであまり興味が湧かないかもしれない。
実際、私も「よくあるテーマだし、“中国のアニメ”が珍しいから一部の人が騒いでるだけだろう」と思ってたんだけど……まあ見終えたら「私は一体何を見させられたのだ?!??」となりました。予告編はチラ見したけど、なんか、全然違う!
これはみんなが観た方がいい映画だ! と思ったが、悲しいかな、どうしてなのかを説明する文章力が行方不明で結局月末になってしまった。観に行ってほしいが、たぶん次の週末は上映館は少なくなってるだろう……おまけに禍は全く納まる気配もないしな。


予告編は中国語版の方がかっこいいな。


日本語版だと、日本語版の主題歌「Unity」のMVのやつがいい。
……たんに私がナレーション入りの予告編が好きじゃないだけかもしれないが。

さて。予告編やレビュー記事でも取り上げられているように、アクションシーンの描き込みがすごい。
いや、描き込みは今時の日本のアニメ映画に比べると少ないのかもしれないが(ごめんなさい、技法あれこれは分からない)、欠けもせず盛り込みすぎもせず、全くの丁度いいバランスでスピード感ある映像を見せてくれる。これがさあ……クライマックスだけではなく、全編通して同じ勢いなのだ。なので、「どのシーンがよかったか」というのが選べない。まじで。

一方で、ギャグパートの描かない加減もいい。かわいい。かわいすぎる。
間の取り方が秀逸で、そこかしこに笑えるシーンがある。

ちなみに黒猫のシャオヘイは一枚絵では「かわいい」デザインだとは思えなかったのだが、動くと途端に可愛さが爆発する。比喩じゃなくて。ほんとに。
シャオヘイだけでなく他のキャラもだが、デザインがシンプルなので動かないと魅力が伝わらない。もどかしい。


大きな構図は「妖精vs.人間」。
でも、この物語はシャオヘイの成長が主軸。

住処しか知らなかった子どものシャオヘイが、他の妖精に会って、人間に会って、自然と文明に触れて、それで最後に何をどう選ぶか? という。このシャオヘイが見る世界は映画を観ながら同じように体験できる。美しい自然や街中の美味しいご飯など、ゆったりとした旅路とで段々と理解していく様を見ているこちらも理解できる。……そもそも自分が中国の現状を正しく知らないので、余計に「こんな世界があるのか〜」と感じたのかもしれないけども。
説明が足りない部分も気になるが、分からなくてもあまり問題は無いので許容範囲。

シャオヘイと旅をする大人であるムゲンは、シャオヘイに対してこちらがいいとか悪いとかアレコレ言わない。
知らないと思われるものを何でも見せる手伝いをして、それの上でシャオヘイ自身に判断させようとする。

伏線もあちこちにあり、「えっ、これはあのときの……!」といくつも驚きがある。そもそも物語の始めに出てきた3人の人間は……? というのが後半で「あっ!」っとなるので、感情が追いつく暇が無い。追いつかないので結局毎週土曜日に観に行くはめになった。
まさかこの歳になってアニメ映画に通うことになるとは……そして泣くことになるとは思っていなかったよ。毎回ラストは涙腺崩壊。

他のキャラクターたちも様々な思惑があって、それぞれについても書きたい。でもそれをやったら何時までも書き終わらなそう……そもそも見終えたあとにすぐに良かったところを書き出してブログにあげよう! ……としたのだが、なんと最初から最後までのあらすじというか話の書き起こしのようのようになってしまい、とても人様にお見せできるようなテキストにできなかった。しっかりしてくれ、私の語彙力。
なので、キャラクターや細かな設定についてはもう全部弾いて書いている次第だが、この作品の魅力はキャラクターにもあると思うので、観て確かめて欲しい。ほんとに。


あとはBlu-ray化を願うばかり……一時停止させて見せてくれ……
付け足しみたいになっちゃうけど、音楽も素晴らしかった! 中国風の曲が美しくかっこいいーーーーので、サントラも発売してくれーー


さて、これはちょっとネタバレかもなのだが、

ムゲンは強いんだな(身体能力の高そうな異形に易々と勝っている)
→すごい強いんだな(3対1でも優位に立っている)
→仲間にも一目おかれるぐらい強いんだな(仲間たちの話から)
→強いどころじゃねーな?(街中での戦闘)
→ほぼ無敵じゃん……(後半の戦闘)

となるのが楽しかったです(*´∇`)

情報掘ってて知った、スタッフさんたちの歌(笑)。

あとは……立ちふさがる言語の壁。今更ながら海外オタクのみなさんの気持ちを味わっている。ぐぬぬ。


by kototubo | 2020-11-30 01:01 | にっき。